ヒカルの碁＝メンタルサプリ2

　この｢ヒカルの碁」、略してヒカ碁はもう終わってしまった漫画です。
ですが、未だに色あせない絵のタッチやストーリーに魅かれていまはまっているのですよ。
　ごく普通のいたずらっ子、小学校６年の進藤ヒカルに、平安時代の天才棋士・藤原佐為（ふじわらのさい）がとりつくところから物語ははじまります。碁のことは何にも知らなかったヒカルが佐為の碁に賭ける千年越しの情熱に引かれて碁を始め、その中で、名人塔矢行洋を父に持つ、ヒカルの最大のライバル・塔矢アキラと出会うのです。
　最初は佐為の指示のままに碁を打っていたヒカル、佐為の力を借りて塔矢アキラを倒したヒカルでしたが、いつしか自分の力で碁を打ちたい気持ちに変わっていき、まだ未熟な技量で塔矢アキラに挑み、弾き飛ばされます。こうして真剣に碁に取り組むヒカルを温かく見守る佐為。いつしか彼を棋士として育てるとともに、ヒカル自身が成長すると共に佐為の意思で碁を打てる
機会は減っていきます。
　この間に塔矢アキラは１年早くプロ入りし、早くもトッププロを脅かすまでの存在へと成長していったのです。
　そしてヒカルにも「塔矢アキラのライバルは俺しかいない」という自覚が芽生えました。ヒカルは１年後に苦闘しながらもプロ入りしました。
　そんな中で、佐為がヒカルと共にすごした日々が終わりに近づいてきました。ヒカルに碁を打たせてもらえない佐為の苦悩を察したヒカルは、塔矢行洋名人にインターネットでの対戦を持ちかけました。パソコン上での激闘の
末に塔矢行洋名人はヒカルのインプットした佐為の碁に敗れ、現役を引退するのです。
　しかし成長したヒカルは佐為の碁を読みきり、佐為を負かせる可能性を指摘しました。ここに佐為は、自分が何のために進藤ヒカルにとりついたのかを思ったのです・・自分のベストの碁をヒカルに見せるためにこの世に降り立ったこと、そして究極の神の一手を目指すのは自分ではなくヒカルの方なんだというのを心ならずとも感じずにいられなかったのです。
　そのうち、ヒカルと佐為との別れがやってきました。
　何の前触れもなく消えた佐為、ヒカルはかつての研修生の伊角（いすみ）先輩と再会するまで碁を打たなかったのですが、伊角先輩との碁で、佐為が自分の打つ碁の中に生きていたことを知るのです。
　そしてヒカルの快進撃が始まります。目標は日本・中国・韓国のジュニア三国対抗戦でした。
　ヒカルはライバルを倒し、塔矢アキラたちと共に日本代表に選ばれます。
はからずしも、韓国代表　高　永夏（コ　ヨンハ）が日本最強棋士の一人である本因坊秀策を侮辱するといった挑発をしたのです。
　この本因坊秀策こそ、前に藤原佐為がとりついた棋士だったのです。
　ヒカルの怒りと闘志は最高潮まで達します。
　激戦の末、ヒカルは世界最強ジュニアの高　永夏には惜敗したものの、
碁の伝統を継ぎ、神の一手を継ぐために碁を打ち続ける自分をはっきりと
認識してこの物語は終わります。
　なんの縁もゆかりもない他人同士の出会いから、心を通わせあい、一つの目的に向かって共に勝つ。この素晴らしさを教えてくれた傑作です。